6カ国8人の生活 その5
6カ国8人と共同生活をしていました。

ギリシャ人のヴァンゲロスは、真っ黒の髪の毛に濃い目鼻立ちで、どちらかと言うとアラブ系のような容貌だった。年齢は誰よりも上で、30代半ばだったと思う。映像系の勉強をしていた大学院生だった。

ギリシャでは、誕生日のほかに自分の名前の日みたいなのがあり、誕生日と同じぐらいかそれ以上に祝うと言うことだった。ヴァンゲロスの名前の日は2月か3月で、少しずつ日が長くなってきていた時期だったように記憶している。その時、彼が彼のギリシャの友達を招待し、うちでパーティーをした。

彼から、その前日に名前の日のお祝いで友達を呼ぶから、良かったら参加しないかと誘われていた。彼の友達のうち一人はしょっちゅううちに来ていたし、一緒に遊びに行ったこともあったので、喜んで参加させてもらうことにした(その友達は結構かっこよかったので、私のお気に入りでもあった!)。

その日、学校から帰ってきたら既にパーティーは始まりかけていた。まだ人数はあまりいないようで、2、3人の声しか聞こえなかった。私はちょっとワクワクしながらドアを開けたが、その瞬間かなり後悔した。なぜなら、お気に入りの彼はおらず、ヴァンゲロスと一緒にそこにいた人は、道端で会ったら絶対に視線を避けるような人だったからだ。

革のパンツと革のジャケットを羽織った彼は、両耳は上から下まで輪っかのピアスがずらりと並び、鼻から口へはチェーンのピアスがぶら下がっていた。更に革のジャケットの下に着ていた白い長袖Tシャツの袖からは黒っぽい刺青(あえてタトゥーとは言わない)が覗いていた。

私はこわごわ自己紹介をし、リビングに座った。本当は部屋を出たかったのだが、入ってすぐに出るのはいくらなんでもまずいと思い、踏みとどまった。ヴァンゲロスは私のことを「日本から来たんだよ」と紹介をしてくれた。その瞬間、革とピアスと刺青の男は「えっ、日本!?」と怖い目つきをギョロリとさせ、一言いった。





「ぼく、子供のころキャンディキャンディが大好きだったんだよね」



それから他の参加者が集まり、食べ物が並ぶまで30分ぐらい、目を輝かせながらキャンディキャンディの話を一生懸命してくれました。

人は見かけで判断してはいけません。

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poc

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